ChatGPT・Google AIモード・Geminiに同じ質問をして見えた、検索と“情報の読まれ方”の変化

ChatGPT・Google AIモード・Geminiに同じ質問をして見えた、検索と“情報の読まれ方”の変化

「どこに行けばいい?」「どう選べばいい?」
そんな日常の小さな疑問を、ChatGPT・Google検索のAI機能(AI Overviews/旧SGE、以下AIモード)・Geminiの3つに、まったく同じ文で投げてみました。

返ってきた答えは、一見よく似ています。
けれどよく見ると、AIごとに“引き受けている役割”がまったく違うことが分かりました。

その違いは、AIの性能差や優劣ではありません。
検索そのものの役割が、「探す」から「判断を助ける」へ静かに移行していることの表れでした。

この記事では、生活者としてAIに質問した体験を起点に、なぜ今、検索が「判断の場」になりつつあるのか、そしてその変化が、これから情報を発信する側に何を求めているのかを整理していきます。

1. 同じ質問を、3種類のAIに投げてみた

「東京23区で、小学生向けの本の品揃えがいい本屋を教えて」

今回、ChatGPT・Google AIモード・Geminiの3つのAIに、まったく同じ質問を投げてみました。
前提条件を足したり、言い回しを調整したりはしていません。状況説明も補足もなく、この一文だけをそのまま入力しています。

同じ問いを、同じ条件で投げたとき。
返ってきたのは「おすすめの本屋」という答えだけではありませんでした。
情報の出し方、整理のされ方、そして“どこまで判断を手伝おうとするか”に、はっきりとした違いが現れたのです。

ここから先では、3つのAIがそれぞれどのように答えたのかを見ていきながら、その違いが示している「検索」と「情報の読まれ方」の変化を整理していきます。

2. ChatGPTの答え:一緒に考え、動くところまで伴走する

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ChatGPTの回答でまず特徴的だったのは、「どういう視点でまとめたか」を、最初に言語化して提示してきた点です。
今回の質問に対してChatGPTは、「単に本の数が多い店」ではなく、親子で楽しめるかどうか/体験として価値があるかという軸を先に示しました。

そのうえで、絵本・児童書・図鑑・学習系といったジャンルの幅や、年齢ごとの使いやすさを意識しながら店舗を整理しています。
いきなり店名を並べるのではなく、「自分たちに合った選び方」を共有してから、具体例に進む構成でした。

2-1. ミニTipsで「選び方」まで補助してくれる

回答の途中には、ミニTipsの形で補足も入っていました。

  • 絵本専門店は、偶然の出会いを楽しみたい日に向いている
  • 大型書店は、目的がはっきりしているときに強い
  • 駅近の店舗は、用事のついでに立ち寄りやすい

これは単なる店舗紹介ではありません。
「どういう日に、どんな店を選ぶとよいか」という判断のヒントを渡しています。

検索結果では省かれがちな、本屋そのものの“使い分け方”まで含めて説明している点に、ChatGPTの特徴がよく表れています。

2-2. 地図提示が「次の行動」を一気に具体化する

もうひとつ、他のAIと比べて明確だった違いが、店舗を地図上にマッピングして提示してきた点です。
文章で理解したあと、「では、どう回るか」「どこから行くか」をそのまま考えられる状態になります。これは情報の追加ではなく、行動への変換です。

  • 神保町なら専門店を巡る
  • 駅周辺なら、用事のついでに立ち寄る
  • 気になる店をいくつかピン留めして、後日回る

考えた結果を、現実の移動に落とし込むための“出口”が用意されていました。

2-3. ChatGPTが担っている役割

この一連の回答から見えてくるのは、ChatGPTが「おすすめを出すAI」ではなく、考える → 選ぶ → 動く、までをつなぐAIとして振る舞っている点です。

  • 視点を提示し
  • 選び方を補助し
  • 最後に行動しやすいかたちに変換する

だから、使ったあとに残るのは「情報を知った」ではなく、「もう動ける状態」です。
この設計思想は、次に見るGoogle AIモードやGeminiとの違いを、よりはっきり浮かび上がらせることになります。

3. Google AIモードの答え:検索の延長線にあるAI

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Google AIモードの回答は、「AIが検索体験をどう拡張したか」という視点で見ると、その性格がはっきりします。
全体としては、思考を導くというよりも、検索結果を整理して提示する役割に徹したものでした。

3-1. 情報の正確さと更新性は、やはり強い

まず印象的だったのは、情報の新しさです。
ChatGPTとGeminiが、すでに移転しているクレヨンハウスを「表参道」として紹介していたのに対し、Google AIモードだけは吉祥寺に移転している現状を反映していました。

この点に関しては、「検索を基盤にしているAI」としての強みがよく表れています。最新情報への追従力や、事実関係のアップデートという点では、やはりGoogleは一日の長があります。

3-2. ただし、条件はあくまで「検索フィルター」

一方で、今回の質問は「東京23区で、小学生向けの本の品揃えがいい本屋を教えて」という、明確な範囲指定を含んだものでした。

その前提で見ると、Google AIモードの回答には、ひとつ気になる点がありました。
それは、23区外である吉祥寺の書店を、特に注釈なく候補に含めてきたことです。

情報としては正確で、書店としての評価も高い。実際、多くの人にとって有力な選択肢であることは間違いありません。
ただし、「なぜ区域外の情報が含まれているのか」という説明はなく、あくまで自然な流れで提示されていました。

これは、おそらく距離の近さや知名度、評価の高さといった「関連性の強さ」が、検索エンジン由来の判断軸としてAI回答にもそのまま反映されているためだと考えられます。
言い換えると、Google AIモードは条件を厳密に守るというよりも、検索エンジンとして「役に立ちそうな情報を広く拾う」という設計思想を、そのままAIの要約にも引き継いでいるように見えました。

3-3. 検索としては親切、判断としてはノイズ

これは検索エンジンとして見れば、非常にGoogleらしい振る舞いです。
関連性が高く、有用そうな情報は、条件から多少外れていても提示する。従来の検索体験に慣れている人にとっては、むしろ親切に感じるでしょう。

一方で、意思決定の文脈で見ると話は変わります。
「今回は23区内で完結させたい」という前提を持っている場合、区域外の候補は判断材料というより、検討コストを増やす情報になります。

3-4. Google AIモードが担っている役割

このやり取りから見えてくるのは、Google AIモードが問いを厳密に解釈して判断を助けるAIではなく、探す行為をできるだけ広く、確実に支援するAIとして設計されているという点です。

  • 最新情報への強さ
  • 定番・信頼情報の網羅性
  • 検索体験を壊さない安心感

これらは、Google検索を基盤とするAIならではの大きな強みです。
一方で、条件の解釈はあくまで検索結果を整理するためのフィルターとして機能しており、「条件をどう重く見るか」「どこまで厳密に守るか」といった判断そのものは、利用者に委ねられています。

つまり、Google AIモードは探すための検索体験としては非常に優秀ですが、条件を厳密に満たす選択をしたい場面では、補助的に使う前提で向き合う必要がある──それが、今回の比較から見えてきた立ち位置でした。

4. Geminiの答え:説明してから、整理して渡すAI

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GeminiもChatGPTと同じく、いきなり「おすすめの本屋」を挙げることはしませんでした。

まず「大型書店」「児童書に強い書店」など、候補の分類を示し、選択肢の全体像を先に言語化します。そのうえで具体的な店舗名を挙げ、「なぜその候補が出てくるのか」「どんな軸で選べばよいのか」を説明。

答えを提示する前に、考え方の地図を描くような進め方です。
Geminiはこの問いを、場所探しではなく選び方の整理として扱っていました。

4-1. 「本屋ではない場所」も、条件付きで含めてくる

今回の回答で特徴的だったのは、Geminiが国立国会図書館 国際子ども図書館(上野)を紹介してきた点です。
「本屋ではありませんが」と前置きしたうえで、

  • 23区内であること
  • 小学生向けの本が大量に揃っていること
  • 無料で閲覧できること

といった条件を丁寧に補足しながら、選択肢のひとつとして提示していました。

問いの条件を外れていることを明示したうえで、それでも「知っておくと役に立つ場所」として加えてくる。この姿勢からも、Geminiが網羅性と理解補助を優先するAIであることが見えてきます。

4-2. 情報を「表」にして、一気に俯瞰させる

Geminiの回答の後半では、紹介した店舗や場所を、目的別に整理した表が提示されました。

  • 図鑑・学習マンガを探している場合
  • プレゼント向けの良書を探したい場合
  • 親子でゆっくり過ごしたい場合

といった目的ごとに、おすすめの場所が対応づけられており、文章を読み込まなくても「自分はどこを見るべきか」が一目でわかる構造になっています。
これは、情報量を増やすのではなく、考える順番を整理するための設計だと言えます。

4-3. 最後に「条件を変えられる余白」を残す

さらにGeminiは、回答の締めくくりで、「お子さまの興味(科学が好き、物語が好きなど)があれば、それに合わせて提案できます」と、次の質問を促す一文を添えていました。

ここで行われているのは、結論の押し付けではありません。「いま示した構造を土台に、条件を足せば、さらに絞れますよ」という提案です。
Geminiは、

  • まず説明する
  • 次に整理する
  • 最後に条件調整の余地を残す

という順番で、判断の準備段階を丁寧に整えてくれるAIだと言えるでしょう。
Geminiは「今すぐどこへ行くか」を決めるための案内役というより、「どう選べばいいか」を理解するための、説明係に近い存在です。

5. 同じ質問でも、AIは違う仕事をしていた──AIO時代のヒント

ここまで、「東京23区で、小学生向けの本の品揃えがいい本屋を教えて」という同じ質問を、ChatGPT・Google AIモード・Geminiの3つに投げ、その回答を並べて見てきました。

比較してみて分かったのは、「答えが違う」という事実そのものよりも、AIごとに“引き受けている仕事”が違うという点です。
同じ問いに答えていても、判断に使う視点や優先順位が違う。だから結果として、別々の工程を担当しているように見えました。

5-1. AIは「どの判断工程を担うか」が違う

3つのAIの振る舞いを整理すると、次のような違いが見えてきます。

AI特徴強み弱み・課題推奨シーン
ChatGPT考えるプロセスに並走し、前提や選択肢を説明しながら導く判断から行動への橋渡しが得意。地図などで次の一手を具体化できる情報の正確性はソース依存。最新情報の網羅性は限定的悩みを整理したいとき/選択肢を比較しながら決めたいとき
Google AIモード検索の延長として、正確さと網羅性を重視事実ベースの情報収集に強く、最新情報の反映が早い条件の解釈が機械的で、判断の粒度はユーザー任せ事実確認/最新情報や場所情報を素早く押さえたいとき
Gemini情報を構造化し、背景や条件を整理して提示全体像を俯瞰でき、比較検討に向く行動への具体的な導線は弱め複雑な情報を整理したいとき/選択肢を冷静に並べたいとき

こうして見ると、AIは「どれが優秀か」を競っているわけではありません。
それぞれが、判断の異なる段階に強みを持った結果、役割が分かれて見えているだけなのです。

5-2. この違いが、「情報の整え方」を変える

AIは、ただ文章を読んでいるのではありません。
前提・条件・選択肢・結論が、どの順番で、どれだけ明確に置かれているかを手がかりに、「この情報は、どの判断工程に使えるか」を判断しています。

だからこそ重要になるのが、AIに合わせた小手先の対策ではなく、情報そのものが、判断に使いやすいかたちで整理されているかどうかです。

6. 情報を整える側から見たとき、何が変わるのか

ここまで見てきたように、同じ質問でも、AIはそれぞれ異なるかたちで情報を解釈し、提示していました。

AIがここまで文脈を読み取り、要約し、判断を助ける存在になった今、私たちは「どう書くか」だけでなく、情報が「どう解釈される構造になっているか」まで含めて整える必要があります。

6-1. いつの間にか、読む側から「読まれる側」へ

AIごとに読み取り方が異なる今、問われるのは「何を書くか」よりも、「どう読まれる構造になっているか」です。
たとえば、次のような前提が、文章の中で自然に伝わっているかどうか。

  • この記事は、何についての情報なのか
  • どんな状況・立場の人を想定しているのか
  • 事実と解釈が、きちんと分けられているか

これらが構造として整理されていないと、AIは文脈を補完しきれず、人にとっても「結局、何の話だったのか」が曖昧になります。

6-2. AIの読み取り方は、人の読みづらさを映している

逆に言えば、AIに誤読されにくい文章は、人にとっても理解しやすい文章です。

  • 見出しと本文が噛み合っている
  • 情報が順序立てて並んでいる
  • 判断に必要な材料が、途中で抜け落ちていない

こうした構造が整っていると、読む側は迷いません。結果として、判断もしやすくなり、次の行動にもつながります。

6-3. AIOは「AI対策」ではなく、発信の整理である

ここで重要なのは、AIO(AI Optimization)がAIのための特別な最適化ではない、という点です。
やっていることはシンプルで、

  • 情報を整理し
  • 文脈を揃え
  • 読み手が迷わない順番で置く

それだけです。

ただ、AIはその整理状態をとても正直に読み取ります。
だからこそ、AIを通して見えてきた違いは、そのまま発信そのものの質を見直すヒントになります。

7. まとめ|生活の中に、検索の未来はある

家庭での小さな疑問をAIに尋ねてみたことで、生活者としての視点からAIを使う意味や、情報をどう受け取り判断するかという「生活者の感覚」を改めて実感しました。
また、生活者としてAIと向き合ったからこそ、発信する側として「どのような情報を、どのように届けなければいかないか」を逆算して考えるきっかけにもなりました。
これからの発信は、単に「伝える」だけでなく、「どう読まれ、どう使われるか」までを意識することが欠かせません。

キボウの株式会社では、こうした「読まれ方」「使われ方」まで含めた発信設計を、中小企業やミニマムな現場に合わせて整理するお手伝いをしています。

検索や発信に、なんとなくの違和感が出てきたとき。
その感覚は、きっと間違っていません。
言葉と構造を、いまの時代に合うかたちへ整えるところから、一緒に見直していけたらと思っています。

「どう読まれているか」一度整理してみませんか?

AI検索が当たり前になった今、伝えた内容そのものよりも「どう解釈されているか」で差がつき始めています。
キボウの株式会社では、記事・ホームページ・サービス説明を題材に、人とAIの両方に誤読されにくい構造を一緒に整理しています。

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